桜が咲くころに採れる「山菜の王様」

ほのかな苦みとコクのある味わいで「山菜の王様」と呼ばれるたらの芽。全国の自生しているタラノキの新芽で、桜の咲くころに採れると言われ、4~5月にかけて桜前線の北上とともに全国で採取できる山菜です。タラノキは芽を採りすぎると枯れてしまうので、先端から伸びる1番上の芽と、その横に斜めに伸びる2番の芽までにとどめるのがマナー。そのため収穫量に限界があり、以前は貴重な食材でしたが、近年は春を感じさせる食材として栽培が盛んに行われています。スーパーの店頭などに出回っているのはほとんどが栽培物です。

栽培物は2~3月が出荷のピーク!

自生しているタラノキは、幹や表面に鋭いトゲがたくさん付いている「オダラ(男ダラ)」、トゲが少ない「メダラ(女ダラ)」があります。オダラの方がたらの芽特有の香りや風味が濃厚ですが、栽培されているのは主にメダラ。栽培用に育てた木を伐採し、10cmほどに切って株を作り、水に浸けてビニールハウスで芽を育成します。天然物に比べると、たらの芽らしい風味には欠けますが、苦みやクセが穏やか。料亭向けなどに12月から早くも出荷が始まり、本来の旬よりひと足早く2~3月に出荷のピークを迎えます。

胎児の成長に欠かせない葉酸が豊富!

濃厚な味わいのたらの芽には、栄養もぎっしり詰まっています。特に豊富なのは葉酸カリウム。葉酸はDNAの合成に大切なはたらきがあり、胎児の成長に欠かせない栄養素で、妊娠中や授乳中の女性は多く摂取する必要があると言われています。また、赤血球の生成を助ける造血作用があり、貧血予防にも効果があります。カリウムは余分な塩分を排出するので、高血圧予防やむくみ改善が期待できます。
特有の苦みは「エラノサイト」と呼ばれる有効成分で、糖の吸収を抑制し、血糖値の上昇を抑えるはたらきがあります。抗酸化作用があり老化を防ぐビタミンE、精神を安定させるビタミンKも含まれています。

独特の風味を味わうには、早めに食べるべし!

たらの芽は、小さいものは苦みや風味が弱く、大きくなるにつれて苦みや香りが増してきます。店頭で選ぶときは、全体的にきれいな緑色で、変色していないものが良いでしょう。保存するときは新聞紙に包み、穴を開けたビニール袋に入れれば野菜室で3日ほど保存できますが、独特の風味や香りを楽しむ食材なので、できるだけ早く食べるようにします。多く手に入ったときは、冷凍保存も可能です。固めに1分ほどゆでた後、サッと水にさらしてから、水気を切って冷凍します。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

独特の苦みや香りが人気のたらの芽。濃厚でしっかりした味わいなので、天ぷらなどの油を使った料理や、胡麻和えや田楽などコクのある味付けが合います。天ぷらはそのまま調理できますが、おひたしや和え物にするときは、アクがあるのでゆでてサッと水にさらしてから使いましょう。水に長く漬けると、香りやほろ苦い味わいが飛んでしまうので、短時間で水からあげるようにしてください。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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