「豆板醤」の「豆」は、そら豆!

写真:そら豆ホクホクとした食感で、ほのかな甘みが人気のそら豆。紀元前5000年からチグリス・ユーフラテス川付近で栽培されていたと言われるほど、歴史の古い食材です。未熟な状態で収穫されたものは生鮮野菜として、完熟豆を乾燥させたものは穀類として利用します。生産量No.1の中国では四川特産のそら豆を発酵させて作る調味料「豆板醤」の原料としても欠かせません。
日本には奈良時代に伝わり、17世紀ごろに一般的に栽培されるようになりました。漢字は「空豆」「蚕豆」の字があてられていますが、「空豆」はさやが空に向かってつくため、「蚕豆」はさやの形が蚕(かいこ)に似ているため、と言われています。さまざまな品種がありますが、現在はさやが大型で豆の大きい「一寸そら豆」が流通の大半を占めています。

鹿児島を皮切りに、そら豆前線が北上!

そら豆の生産No.1は鹿児島県で、全国の4分の1以上を生産しています。温暖な気候を利用して11月ごろから出荷がスタートし、3~4月に旬を迎えます。鹿児島を皮切りに徐々に生産地は北上し、4月から愛媛など四国、5月から千葉や茨城など関東、6月から宮城などの東北地方の出荷が始まり、5~6月が出荷量のピークです。
そら豆のさやの中には、ふわふわしたワタがありますが、これは環境の変化に弱い豆を、寒さや乾燥から守るはたらきがあります。主流の一寸そら豆のひと粒は5~6gなので、レシピに書かれている分量の目安にしてください。

すばやいエネルギー補給にピッタリ!

そら豆の主成分は、糖質たんぱく質。糖やたんぱく質の燃焼を助けるビタミンB1、B2、ナイアシンなどビタミンB群が豊富なので、すばやいエネルギー補給にピッタリの食材です。また、ビタミンB1はアルコールの分解を助けるはたらきがあるので、初夏の楽しみ「そら豆にビール」は理にかなっています。ビタミンB2は「発育のビタミン」とも呼ばれ、成長促進や新陳代謝に関与するはたらきがあります。
写真:そら豆ミネラルも豊富で、特に貧血の予防に欠かせない葉酸が多く含まれます。そら豆の鉄は体内に吸収されにくい「非ヘム鉄」ですが、ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂取することで吸収率がアップします。

「そら豆3日」、鮮度が命!

そら豆を選ぶときは、きれいな緑色で、均一にふっくらし、うっすらとうぶ毛が付いているものが良品です。背の筋が茶色っぽく変色していたり、さやを触ったときに弾力がなく薄く感じられるものは鮮度が落ちています。
保存するときは、乾燥に弱いのでさやのままビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存しますが、「そら豆(がおいしいのは)3日」との言葉があるほど、そら豆は鮮度が落ちるのがとても早い食材。買ったらできるだけその日のうちに食べるようにしましょう。多く手に入ったときは、固めにゆでて、冷凍保存も可能です。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

そら豆は、初夏の訪れを感じさせる季節感のある食材です。さやから豆を出して塩ゆでするときは、「お歯黒」と呼ばれる黒い筋のところに軽く切込みを入れてからゆでると、ほどよく塩味がついて、薄皮をむきやすくなります。強火で2~3分ゆで、ザルにとってそのまま余熱で火を通すようにしましょう。薄皮には食物繊維がたっぷり含まれているので、薄皮の柔らかい旬のそら豆は、薄皮ごと食べることをオススメします。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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