小さいと「エンピツ」、大きくなると「カンヌキ」?

写真:サヨリスマートな流線型で、銀色に輝く美しい姿から「海の貴婦人」「海の麗人」と呼ばれるサヨリ。30cmほどの上品な味わいの白身魚で、刺身、寿司や天ぷらのネタとして人気です。北海道南部から九州の沿岸まで生息し、海面すれすれを群れを作って移動します。音などに敏感で、危険を感じると空中にジャンプして逃げる習性があります。
秋から春にかけて旬を迎えますが、15cm以下の小さいものは「エンピツ」、大きなものは「カンヌキ」と呼ばれ、40cmになることも。大型のサヨリは脂が乗り非常に美味とされますが、貴重なのでスーパーなどの店頭で見ることはほとんどなく、高級料亭や寿司屋に出荷されます。

良質なタンパク質が豊富!

淡白でクセのない味わいのサヨリは、高タンパク低脂肪のヘルシー食材。良質なタンパク質が豊富で、脂肪が少なく消化が良いので、赤ちゃんの離乳食や介護食、病中病後の回復食に向いています。
ビタミン類では、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を助けたり、毛細血管を広げて血行を良くするはたらきがあるナイアシンが比較的多く含まれています。ミネラルでは、味覚を正常に保ち、新陳代謝を助ける亜鉛も豊富です。

腹黒い人は「サヨリのような人」?

見かけによらず腹黒い人を「サヨリのような人」と例えることがありますが、これはサヨリのスマートな姿は美しいのに、さばくときに腹を開けると腹膜が真っ黒であることから。この腹膜の黒さは鮮度が落ちると褐色になるので、鮮度を見分けるポイントになります。腹の中心から排泄口あたりまで茶色くなっていないもの、触って硬いものを選ぶようにしましょう。また、長い下アゴの先は赤く色づいていますが、この色が鮮やかなほど新鮮です。
サヨリは内臓部が長く鮮度が落ちやすいので、買ってきたらすぐに内蔵を取り出し、冷蔵庫に保存しましょう。黒い腹膜は苦みがあるので、しっかり取り去ってから調理します。

写真:サヨリ中骨も皮もまるごと食べつくそう!

あっさりとしてクセがないサヨリは、さまざまな料理に使われます。大きいものは美しい半透明の身を活かした細作りの刺身や寿司ネタにすると良いでしょう。酢締めや昆布締めもおいしくいただけます。三枚におろした細長い身を結んだサヨリのお吸い物も人気で、加熱するとホロリと口の中でほぐれる食感になります。
刺身など生食するときは、中骨をはずし、頭の方から皮をむきますが、中骨も皮も食べられます。中骨はじっくり揚げればカルシウムたっぷりの骨せんべいに、皮は串に巻いてサッとあぶって塩を振れば、お酒のおつまみにピッタリです。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

上品で繊細な味わいが魅力のサヨリ。刺身や天ぷらが人気ですが、干物や塩焼きにしてもおいしくいただけます。焼く前の下ごしらえは、サンマやブリのように振り塩ではなく、繊細な味わいを壊さないように濃度3%程度の塩水につけておく「立て塩」をします。刺身や酢締めにするときも、立て塩をすると甘みやうまみが引き立ちます。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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