秋が深まるほど脂が乗ってくる!

たっぷり脂の乗った身をこんがり焼いたさんまの塩焼きは、まさに日本の秋の味覚!秋になり、店頭に新さんまが並ぶのを心待ちにしていた方も多いのではないでしょうか?なじみ深いさんまですが、食べられるようになったのは江戸時代中期以降と言われ、広く日本中の食卓で見られるようになったのは大正時代以降です。
回遊魚のさんまは、8月頃から北海道の沖合を南下し始めます。親潮に乗って9月から10月頃に三陸沖から銚子沖へと漁場が移るのに伴い脂が乗ってきて、10月下旬のさんまは脂質含有量が20%にもなるほど。古典落語の「目黒のさんま」にちなんだ「目黒のさんま祭り」(東京都)は、1990年代から始まったお祭りで、今では3万人もの人出がある一大イベントになっています。

頭と身体の発達に欠かせない栄養がいっぱい

旬のさんまは塩焼きにすると脂が落ちるほどですが、この脂には生活習慣病予防に効果があるとされる栄養素のDHAやEPAが豊富に含まれています。特にDHAは脳の発達や維持に欠かせないとされ、育ち盛りの子どもはもちろん、アルツハイマー病予防を心がけたい中高年の方にも必要な栄養素です。
また、さんまの身は筋肉や身体をつくる良質なたんぱく質で、さらに、骨や歯を丈夫にするために欠かせないカルシウムと、その吸収を助けるビタミンDも豊富に含まれています。頭と身体の発達に欠かせない栄養素が豊富なさんまは、子どもにもっと積極的に食べて欲しい食材です。

"通"好み!?さんまの「わた」がおいしい理由は?

さんまを塩焼きにした時、肝である「わた」がたまらなく好き!という方も多いのでは?さんまは胃がなく、腸も短いので、餌を食べてから排出するまでの時間が非常に短いために、内臓にえぐみがなくおいしく食べることができるのです。また、肝がおいしいさんまは、新鮮な証拠。最初は甘みがありトロッとしていた肝は、漁獲後半日〜1日で苦みが出てしまいます。
また、時々肝にうろこが混じっている時がありますが、これは網で大量に漁獲される時にこすれて取れてしまったうろこが、さんまの口の中に入ってしまうため。一本釣りの新鮮なさんまは値は張りますが、肝までおいしく食べられることが保証されたさんま好きにはたまらない贅沢品なのです。

秋ならではの贅沢、さんまの炊き込みご飯はいかが?

新鮮なさんまを選ぶポイントは、目の赤みが少なく透き通っていて、色がハッキリとして透明感があること。買ってきたらその日のうちに食べきることが鉄則ですが、まとめて安く売られている時は、内臓と頭を取ってきれいに洗ってから冷凍保存し、煮物や揚げ物などで濃い目の味付けにすればおいしくたべることができます。
また、さんまの炊き込みご飯もおススメ。内臓と頭を取って塩焼きにしたさんま1匹を半分に切り、米2合に大さじ2程度の酒と、小さじ1程度の醤油を加え、ふつうの水加減でさんまを乗せて炊くだけ。炊き上がったら、さんまの骨を外し身をほぐして混ぜ込みます。旬の新米とさんまの組み合わせは、秋ならではの贅沢です!

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん

スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

「さんまが出ると按摩(あんま)が引っ込む」ということわざがあるくらい、栄養豊富な旬のさんま。たんぱく質とビタミン、鉄分を豊富に含んだ優秀な食材です。さんまの塩焼きには大根おろしがつきものですが、大根に含まれる酵素(アミラーゼ)には焼き魚の焦げ部分に微量含まれる発がん性物質を分解するはたらきがあります。また、さんまに含まれないビタミンCも大根には豊富なので、栄養学的にもさんまに大根おろしは理にかなった組み合わせなのです。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、 食育イベント、保健指導などで活躍中。

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