写真:羊肉ジンギスカンの大流行で、一気に定着!

日本の食卓ではあまりなじみのなかった羊肉ですが、2005年ごろのジンギスカンブームで、全国に羊肉を扱う飲食店が増え、スーパーなどの店頭でも見かけるようになりました。北海道以外では羊肉を日常的に食べる習慣がなかったことや、1頭から取れる量が少ない羊肉の生産が非効率的なこともあって、国産羊肉はごくわずかで、99%をオーストラリアとニュージーランドからの輸入でまかなっています。以前は安価な冷凍肉の輸入が主流で、プレスハムなど低価格の加工品の原料となっていましたが、現在は物流が発達して冷凍されていないチルド肉が「生ラム」として流通しています。

「ラム肉」「マトン肉」の違いは?

羊肉は大きく分けて「ラム肉」「マトン肉」の2種類があります。国により細かな基準は異なりますが、一般的にはラム肉は生後1年未満の仔羊で、くさみが少なくて柔らかく、羊肉になじみがない人でも食べやすい味わいです。マトン肉は生後1年以上の成羊で、ラム肉に比べて独特のくさみと歯ごたえがありますが、羊らしい深みのある風味を味わえます。
他の食肉と同様、部位によって特徴があり、よく見かける骨付きの「フレンチラック」「ラムチョップ」と呼ばれる部位は背中部分のロース肉。とてもやわらかく、ステーキやソテーに向いています。モモ肉は脂肪が少なくあっさりしていますが、肩肉やバラ肉は脂肪が多めです。

羊肉はダイエットの強い味方!?

ジンギスカンが大流行したのは、「羊肉はヘルシーでダイエット向き」と評判になったのが一因。羊肉のタンパク質は必須アミノ酸がバランスよく含まれ、脂質はコレステロール値を下げるオレイン酸などの不飽和脂肪酸が多く含まれます。また、羊の脂質は融点(溶け始める温度)が他の肉よりも高いため、腸で吸収されにくく、体写真:羊肉外に排出されやすいと言われています。
マトン肉に特に多く含まれるアミノ酸の一種「L-カルチニン」には、体内の糖や脂肪の燃焼を助けるはたらきがありますが、加齢とともに体内で作る機能が弱くなり、中年太りにつながりやすくなります。羊肉でL-カルチニンを補給すると、体脂肪が燃えやすくなり、生活習慣病予防も期待できます。

独特の風味は、脂身にあり!

チルドのラム肉を選ぶときは、適度に肉が締まってキメ細かく、脂身が真っ白いものが良品です。丸太のような形をした冷凍肉をスライスしたものも流通していますが、「ロールマトン」と呼ばれ、肉の端材が無駄にならないように整形したものなので、さまざまな部位が混じっています。
羊肉の独特の風味は脂肪分にあるので、苦手な場合は油の少ない部位を選ぶか、脂を取り除いてから調理すると良いでしょう。また、焼いた脂が固まるとくさみが出るので、調理をしたら熱いうちに食べてください。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

羊肉というと、「くさい」「硬い」イメージを持つ方も多いですが、羊肉は鮮度管理が難しいうえに、以前は、本来食用ではない羊肉が輸入されるなど、質の良くない冷凍品が出回っていたため。現在は輸送技術が発達したので、格段においしい羊肉が輸入されるようになりました。漢方では身体を温める作用があるとされ、古くから中国北部や内陸部では、羊肉のしゃぶしゃぶは冬場の定番メニュー。冷え性や血行不良からくる肩こりに悩む女性には、ピッタリのお肉です。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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