もともとは海に住む魚だった!?

丸ごと食べられる小魚の中でも、クセがなく食べやすいワカサギ。漢字では「公魚」の字があてられていますが、これは江戸時代に常陸国麻生藩が霞ヶ浦のワカサギを年貢として納めていた「公儀御用の魚」から来ています。もともと海水や、海水と淡水が入り交じる汽水域に生息し、太平洋側では千葉県以北、日本海側では島根県以北で獲れましたが、食用魚として人気があったので各地の湖沼に放流されました。ワカサギは環境への適応力が高く、全国の湖沼に定着しています。旬写真:ワカサギは1~3月で、氷の張った湖沼に穴を開け、上から釣り糸を垂らして釣る「氷上穴釣り」は、北海道や本州内陸部の冬の風物詩となっています。

「ワカサギ」と「チカ」の違いは?

ワカサギはもともと海水魚でしたが、放流されて湖沼などの淡水域でも生息するようになり、淡水魚でもあります。成長期に海や湖に降り、産卵期に川を上って産卵する溯河(そか)回遊型、湖沼に生涯とどまって生活する湖内残留型(陸封型)の両方のタイプが見られます。ワカサギに似た魚に、北海道に主に生息する「チカ」がいますが、チカは一生を海水域で過ごす純粋な海水魚です。また、ワカサギが10~15cm程度にしか成長しないのに対し、チカは20cmくらいまで成長します。背びれの位置も見分けるポイントで、ワカサギが背びれが腹びれより尾側にあるのに対し、チカは背びれが腹びれより頭側にあります。

カルシウム補給にピッタリ!

ワカサギは脂肪分が少なく、あっさりした味わいの魚です。魚類の中でもカルシウムを多く含み、内臓部分にはカルシウムの沈着を促すビタミンDも含んでいるので、丸ごと食べることでカルシウムを効率よく摂取できます。成長期の子どもや骨粗しょう症が気になる高齢者の方に積極的に食べてほしい食材です。また、魚類の中では珍しく、皮膚や粘膜を丈夫にして外部からの細菌やウイルスの侵入を防ぐレチノール(ビタミンA)を含んでいます。抗酸化作用があり、老化防止が期待できるビタミンEセレン、貧血防止に欠かせないビタミンB12も含まれています。

写真:ワカサギ日持ちする保存食作りにチャレンジ!

ワカサギは鮮度が落ちやすい魚で、氷上で釣ったその場で氷の上に置いて氷締めにし、その日のうちに食べるのが一番おいしいと言われています。流通している生鮮品を買う場合は、銀色に輝いて張りのあるものを選ぶようにしましょう。白っぽいものは鮮度が落ちている恐れがあるので避けます。多く手に入ったときは、日持ちする保存食作りがオススメ。唐揚げを甘酢に漬け込んだ南蛮漬けや、醤油やみりんなどで甘辛く煮付けた甘露煮が定番です。産地として知られる諏訪湖には、梅干しと煮付ける「紅梅煮」と呼ばれる郷土料理があり、梅がワカサギの身を引き締めて型崩れを防ぎ、生臭さを消して骨を柔らかくする理にかなった食べ方です。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

食用として味が良いことから、全国に放流されて広がったワカサギ。氷上の穴釣りが知られていますが、温暖化の影響で氷が張る湖沼が少なくなり、できる場所が減ってきました。現在は、手漕ぎボートや、暖房やトイレなどを備えたドーム船でのワカサギ釣りが定番です。ワカサギのヌルヌルした臭みが気になるときは、塩を振って20~30分ほど置いて出た水分を拭き取ると、臭みが気にならなくなります。また、唐揚げにするときはしっかりと揚げることも臭みを抜くポイントです。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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