たらこの「ひと腹」とは?

プチプチした食感で、お茶漬けやおにぎりの具、パスタやサラダにも使われるたらこは、スケトウダラの魚卵です。塩漬けされたたらこの歴史は意外と新しく、明治後期に真鱈(マダラ)が不漁となったときにスケトウダラの漁が盛んになり、写真:たらこ大正時代に塩漬けした魚卵が出荷されるようになりました。産卵前のメスには、卵巣がふたつずつ並んで腹に入っているので、ふたつで一対になったものを「ひと腹」と数えます。スケトウダラは1970年代まで日本の漁獲量の3分の1を占めると言われるほど獲れましたが、近年は漁獲量が激減。アラスカやロシアから原料を輸入し、国内で加工するのが一般的になっています。北海道白老町虎杖浜(こじょうはま)は、たらこ加工業者が多く、「虎杖浜たらこ」はブランド化しています。

「たらこ」と「辛子明太子」の違いは?

たらこと辛子明太子の原料は、どちらもスケトウダラの魚卵です。たらこは塩漬けしたもの、辛子明太子はだし汁、日本酒、唐辛子などを調合した調味液に漬け込んだものですが、「明太子」はもともと「たらこ」の方言で、辛子明太子が特産品として全国的に知られるようになり、略して「明太子」と呼ばれるようになりました。福岡など西日本の一部では、今でもいわゆる「たらこ」を「明太子」と呼び、「辛子明太子」と区別しています。どちらも和食の食材として親しまれてきましたが、1960年代にほぐしたたらこをバターやレモン汁などで伸ばしたものをパスタに絡める「たらこスパゲッティ」「明太子スパゲッティ」が考案され、和の食材を洋風にアレンジする先駆けとなりました。

栄養豊富な「魚卵」

写真:たらこたらこは「卵」なので、栄養豊富な食材です。ビタミンの含有量が多く、特に抗酸化作用があり「若返りのビタミン」と呼ばれるビタミンE、エネルギー代謝を促し、疲労回復に欠かせないビタミンB1、肌や粘膜を丈夫にし、口内炎や肌荒れを予防するビタミンB2 が豊富です。また、アミノ酸の一種であるタウリンも含まれます。タウリンには、血圧を正常に保つはたらきや、肝機能を活発にしてアルコールの分解を早め、二日酔いの症状を緩和するなど、さまざまな効能があります。

小分けにして冷凍保存がオススメ

たらこを選ぶときは、ひと粒ひと粒がキラキラして、全体がふっくらしているもの皮が薄く破れていないものが良品です。時々、先端部分が緑色になっているものがありますが、スケトウダラを捕獲したときに内蔵が破裂して胆汁が卵に付着したのが原因。食べても害はありませんが、少し苦みがあるので、気になる場合は取り除きましょう。たらこは塩漬けされていますが、冷蔵で1週間ほどしかもたないので、多く手に入った時は冷凍保存がオススメ。小分けしてラップに包み、さらにジッパー付き保存袋などに入れて冷凍庫で保存します。解凍するときは、冷蔵庫で自然解凍しましょう。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

ご飯のお供としてなじみ深いたらこ。原料のほとんどは輸入に頼っていますが、北海道の日本海沿岸では、延縄(はえなわ)漁で1本釣りしたスケトウダラでたらこが作られています。鮮度が高く、見た目も美しい1本釣りのたらこは「釣りたらこ」と呼ばれ、常に品薄で、たらこの最高級品として評価されています。たらこの栄養価は高いですが、塩分やプリン体が多く、コレステロール値も高いので、尿酸値の高い人や高血圧の人は食べ過ぎに注意してください。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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