蕎麦を麺にして食べるのは少数派?

「引越し蕎麦」「年越し蕎麦」写真:蕎麦<そば>などの節目にたびたび登場し、日本の暮らしに根付いている蕎麦。やせた土地でも育つことから、古くから凶作に備えて栽培されてきました。室町時代までは、麺ではなく蕎麦がきなど団子状にしたり、薄く焼いて食べられるものが主流でした。江戸時代になって「蕎麦切り」と呼ばれる現在のような麺状のものが生まれ、江戸の庶民の間で大流行し、一気に普及しました。現在、蕎麦は世界のさまざまな地域で栽培されていますが、日本のように麺状にして食べる地域はごくわずか。多くはむき実をおかゆにしたり、蕎麦粉をパンやお菓子にして食べています。フランスの伝統料理「ガレット」は蕎麦粉のクレープ、生産量・消費量ともに多いロシアの代表的な家庭料理「カーシャ」は蕎麦の実を使ったおかゆです。

「更科」「藪」の違いとは?

蕎麦には大きく分けて「更科蕎麦(さらしなそば)」「藪蕎麦(やぶそば)」がありますが、違いは製粉方法です。蕎麦を収穫すると、まず天日干しにされ、この状態のものを「玄蕎麦(げんそば)」と呼びます。玄蕎麦から殻を取り除いたものが「蕎麦の実」です。蕎麦の実を軽く粗挽きしたときに割れ出る胚乳の中心部のみを挽いてふるいにかけて選別された粉が「一番粉(内層粉)」で、色が白く蕎麦らしい風味には欠けますが、甘みがあります。更科蕎麦は主に一番粉を使います。さらに胚乳や胚芽(子葉)を挽いた「二番粉(中層粉)」、外側の甘皮も挽き出される「三番粉(外層粉)」と、実の外側を挽くほど蕎麦の香りが強くなります。主に二番粉、三番粉を使ったのが藪蕎麦で、段階を分けず一度に実を挽いたものが「田舎蕎麦(いなかそば)」です。

栄養素を多く含む優秀穀類!

蕎麦は、穀類の中ではタンパク質が多いことが特徴。蕎麦のタンパク質は、必須アミノ酸を多く含む写真:蕎麦<そば>良質なものです。「蕎麦ポリフェノール」とも呼ばれる「ルチン」は、毛細血管を強くして血圧を下げたり、膵臓機能を活発にして糖尿病を予防・抑制するなど、さまざまな効能があることで知られています。また、体内の老廃物を排出する食物繊維、疲労回復に欠かせないビタミンB1、粘膜や皮膚を強くして口内炎予防にも役立つビタミンB2、抗酸化作用のあるビタミンEも比較的豊富に含まれています。

栄養的には黒っぽい蕎麦が優秀!

蕎麦の風味は蕎麦粉の産地やブレンドにより大きく異なるので、好みのものを探す楽しみがあります。栄養的には実の外側ほど多く含まれているので、蕎麦の効能を期待するならば、実の外側を挽いた黒っぽい蕎麦のほうが良いでしょう。また、自宅でそばを食べる時は、賞味期限は短いですが、すぐにゆで上がり、コシのある歯ごたえを楽しめる生蕎麦、保存が効いて食べたいときに食べられる乾蕎麦があります。どちらもゆで上がったら、いったん水で洗ってぬめりを取りましょう。温かいそばは熱湯にサッと通してつゆに入れ、冷たい蕎麦は冷水でしめるとおいしくいただけます。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

蕎麦はヘルシーなイメージがありますが、100gあたりのカロリーは、米やパン、うどんなどの他の主食とあまり変わりません。しかし、他の主食に比べてタンパク質、ビタミン、ミネラルを豊富に含んでいるので栄養バランスがよく、他のおかずを多く摂る必要がないことから、1食あたりのトータルカロリーや脂質が抑えられます。蕎麦をゆでた後の蕎麦湯には、水溶性のルチンやビタミン類など多くの栄養素が溶け出していますので、蕎麦屋で出された時はしっかりいただきましょう。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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