鍋物には欠かせない冬野菜

ほろ苦い独特の風味を持写真:春菊<しゅんぎく>つ春菊。ハウス栽培が盛んで、1年を通して流通しますが、旬は11~2月の冬で、鍋物には欠かせない葉野菜です。地中海原産ですが、食用としてきたのは日本や中国など東アジア地域のみで、ヨーロッパでは主に観賞用とされてきました。菊は秋に花を咲かせますが、春に花を咲かせることからこの名が付き、関西では「菊菜<きくな>」とも呼ばれています。日持ちしないので大消費地である都市圏近郊での栽培が盛んで、千葉県、大阪府、群馬県の生産量が多くなっています。

地方によって特色豊か

春菊は地方によって特徴があります。中国・九州地方で主に栽培されている「大葉種」は、葉が大きくて切れ込みが浅く、厚みがあってクセのない味わいです。柔らかいのでサラダにも向き、北九州の「おたふく春菊」、加賀野菜として知られる「金沢春菊」は、この大葉種の春菊です。現在主に流通している「中葉種」は、葉に深い切れ込みがあり、香りが強め。茎が立ち、分枝した根元を切って収穫する「株立ち中葉種」は主に関東で、茎が立たず、株が横に張り寝付きで収穫する「株張り中葉種」は主に関西で栽培・流通しています。

冬の風邪予防にピッタリ!

春菊は緑黄色野菜で、βカロテンを豊富に含みます。βカロテンには抗酸化作用があり、ガン予防やアンチエイジング効果が期待できます。また、体内でビタミンAに変わるので、皮膚や粘膜を強くして風邪予防にも効果的です。風邪や肌荒れを予防するビタミンC、止血作用があり骨の形成を促進するビタミンKも豊富です。写真:春菊<しゅんぎく>ミネラルでは、貧血予防に欠かせない葉酸、体内の余分な塩分を排出して高血圧予防になるカリウムが豊富。また、独特の香りは、リモネンやαピネンなどの成分で、自律神経に作用して胃腸の働きを促したり、リラックス効果があります。

葉がみずみずしくピンとしているものが良品!

春菊を選ぶ時は、葉が先の方までピンとしてハリがあり茎の下の方まで葉がたくさん付いているものが良品です。また、茎が細めで短いほうが食べやすいです。古くなると葉にツヤがなくなり、黄色っぽくなってくるので注意しましょう。買ってきたら、濡らしたキッチンペーパーや新聞紙でくるんでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室にできるだけ立てて保存しますが、保存できるのはせいぜい2~3日。多く手に入ったときは、ゆでてからしっかり水分を切って、冷蔵庫や冷凍庫で保存することもできます。冷凍した春菊を使うときは、凍ったまま味噌汁や煮物などに使えるので便利です。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

おひたしや天ぷら、鍋物など、和食に欠かせない春菊。風邪予防になるβカロテンやビタミンCが豊富で、寒い季節には栄養的にも積極的に摂取したい食材です。和のイメージが強い春菊ですが、ハーブ感覚で洋食に使うこともできます。最近出回っているサラダ用春菊は、独特の香りと苦味が、コクのあるドレッシングにピッタリ。ごく一般的な春菊も、葉先だけを摘んでサラダに使うことができます。また、バジルの代わりに松の実、にんにく、オリーブオイルとペースト状にして、和風ジェノベーゼソースを作ることもできます。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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