写真:太刀魚<カマス>秋のカマスも、嫁には禁物?

上品な味わいながら、濃厚なうまみとコクがしっかり感じられるカマス。ナスと同様に「秋カマスは嫁に食わすな」と言われるほど、秋になると脂が乗っておいしくなる白身魚です。幼魚の時は浅瀬に、大きくなると深い場所で群れを形成して活発に泳ぎまわり、「カマス一匹底千匹」と言われ、一匹見かけたら大きな群れが潜んでいます。やや受け口の口の中には鋭い歯が並び、スマートな魚体で時速150kmものスピードで獲物を追い、上方を泳ぐイワシやキビナゴなどの魚を見つけると、一気に襲いかかります。「ひと潮ごとに大きくなる」と言われ、7~8月の獲れはじめの頃には20cm程度のものが多く揚がりますが、猛烈な勢いでエサを食べて大きくなり、旬の秋には40cm以上になるものも。大きくなると大味になる魚が多い中、カマスは大きいほど脂が乗っておいしくなり、高値で取り引きされます。

「バラクーダ」の正体はカマス?

市場に出回るカマスは、主に「アカカマス」「ヤマトカマス」の2種。アカカマスのほうが味が良いとされ、価格も高くなっています。アカカマスはやや黄色みを帯びた魚体で、50cm近くになることもあり、そのまま塩焼きにしたり、鮮度の良いものは刺身や寿司ネタとしても人気です。写真:太刀魚<カマス>ヤマトカマスは「アオカマス」「ミズカマス」とも呼ばれ、その名の通り水分が多く、主に干物に加工されます。熱帯海域に生息している「オニカマス」は、2m近くにもなる大型魚。時には人を襲うほどの攻撃性があり、「バラクーダ」の名でサメよりも危険な魚とされています。

低脂肪高タンパクのヘルシー食材

カマスは、秋に旬を迎える魚の中では脂肪分が少なく、胃腸にやさしい良質なタンパク源となります。また、骨や歯をつくり、骨粗しょう症予防にもなるカルシウムが豊富なので、子どもから高齢者まで積極的に食べてほしい食材です。ビタミンでは、タンパク質の代謝を促進して成長を促すビタミンB6、カルシウムを骨や歯に沈着させるはたらきがあるビタミンDが比較的豊富に含まれています。貧血予防に欠かせない鉄の吸収を高める銅、味覚を正常に保つ亜鉛、高血圧予防になるカリウムなどのミネラルも豊富です。

自家製一夜干しにチャレンジ!

カマスは、目が澄んで透明で、魚体にハリとツヤがあり、ウロコがしっかり付いているものが良品です。カマスの干物は美味なことで知られていますが、塩焼きにするときも塩を振ってから30分程度冷蔵庫で寝かせてから焼くと、うまみが増しておいしく仕上がります。また、家で一夜干しを作ることもできます。腹わたを取ってから片袖開きにして、塩を直接振るか塩水につけて30分ほど置いたら、サッと水洗いして塩を流します。水気を拭き取り、洗濯物干しにクリップで吊るしたり、ざるに並べたりして、夜から明け方までひと晩干して表面が乾いていればOK。水分がほど良く抜け、うまみがギュッと詰まった味わいになります。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

塩焼きや干物でおなじみのカマス。焼いたカマスは「カマスの焼き食い一升飯」と言われるほど、そのおいしさは古くから評判でした。小さいものは丸干しに、20cm以上になれば開き干し、30cm以上になると塩焼きに向きます。水分が多い魚で、特にヤマトカマスは水っぽく身が柔らかいので、そのままでは刺身に不向きですが、酢じめにするとおいしくいただけます。姿寿司にした「カマス寿司」は、四国の名物料理です。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

  • 前へ
  • 次へ