写真:太刀魚<たちうお>上品なおいしさ、身離れの良さで人気!

ほどよく脂が乗り、上品なうま味のある太刀魚。身離れが良く食べやすいので、子どもから大人まで好まれる魚ですが、特に西日本で親しまれています。世界中の亜熱帯・温帯の暖かい海に生息し、日本では北海道以南の海で1年中水揚げされますが、旬は夏から秋にかけて。そのまま出荷されるのはもちろん、一夜干しやみりん干しなどにも加工されます。釣りの対象魚としても人気で、旬の時期は船釣りはもちろん、防波堤などからの陸釣りでも釣れます。エサを一気に食べないので、アタリがあってもタイミングを合わせるのが難しく、かかると引きが良いので、面白い釣りとされています。

腹びれも尻びれもウロコもない!

太刀魚の名称は、銀色で細長い「刀」のような体型から名付けられたという説と、頭を上にした「立ち」泳ぎをする姿から名付けられたという説があります。太刀魚が立ち泳ぎをするのは、横に泳ぐ力が弱いので、立つようにして下から獲物を待ち構えて素早く噛み付くためといわれています。
写真:太刀魚<たちうお>太刀魚は背びれが頭から尾にかけてビッシリ付いているのが特徴で、腹びれと尻びれがなく、さらにウロコもありません。ウロコの代わりに「グアニン質」と呼ばれる銀色の粉で覆われています。このグアニン質は、手で触ったり網でこすれると簡単に取れてしまい、みるみる太刀魚は弱ってしまいます。そのため、底引き網漁などでも水揚げされますが、1本釣りの太刀魚は傷が少なく、鮮度を高く保てることから、高値で取引されています。

身体に良い脂質が豊富!

太刀魚は白身魚にしては脂質が豊富で、旬の脂の乗った時期には20%にもなると言われています。脂質にはIPA(EPA)DHA、オレイン酸などの不飽和脂肪酸が多く含まれています。IPAには血液をサラサラにして動脈硬化を防いだり、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす作用があり、DHAには脳の発達や老化を予防するはたらきに加えて、IPAと同じく血液サラサラ効果もあります。オレイン酸は身体に良いことで知られるオリーブオイルにも多く含まれる脂質で、体内の酸化を防ぐはたらきがあります。また、カルシウムの吸収を促進するビタミンD、皮膚や粘膜を丈夫にするビタミンA、抗酸化作用のあるビタミンEも豊富。これらのビタミンは脂溶性ビタミンなので、加熱しても失われにくく、焼いたり揚げたりする調理法に適しています。

ムニエル、唐揚げ...油で調理するとおいしさアップ!

太刀魚を選ぶ時は、体表の銀粉がビッシリ付き、背びれと目の色が透明で、身にハリがあるものを選ぶようにしましょう。切り身は肉質が透き通り、横から見て肉厚で身が締まっているものが良品です。太刀魚は水分が多く日持ちしないので、買ってきたらできるだけ早く調理しましょう。新鮮なものは皮付きのまま刺身にすると美味。また、油との相性が良いので、ムニエルや唐揚げ、天ぷらなどにしてもおいしくいただけます。煮付けも美味ですが、身が柔らかく崩れやすいので、注意してください。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

太刀魚は、魚介類にしては珍しくオレイン酸を多く含むので、上品なうま味とコクのある食材。鮮度が良いものが手に入ったときは刺身にするとおいしく、関西では「銀皮造り」と呼ばれる、皮ごと昆布締めにした一品が人気です。切り身や三枚おろしにして食べる場合は、塩を振ってしばらく置いて、出てきた水分を拭き取ってから調理しましょう。余分な水分と臭みが抜けるので、身が締まって上品な味わいになります。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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