写真:茗荷<みょうが>日本独特の食材のひとつ

シャキシャキした食感と、さわやかな香りが特徴の茗荷。東アジアが原産で、生姜とともに日本に伝わった際に、香りの強い生姜を「兄香(せのか)」、香りの弱い茗荷を「妹香(めのか)」と呼び始め、後に「しょうが」「みょうが」と転じたことが名前の由来と言われています。平安時代には広く食べられ、日本ではおなじみの食材ですが、日本の他に食用としているのは台湾と韓国のごく一部のみです。
江戸時代には東京都新宿区の現在の早稲田大学がある地域で盛んに栽培され、「早稲田みょうが」は味が良くブランド化していました。文京区には「茗荷谷」の地名がありますが、早稲田に広がる茗荷畑を見下ろす谷だったことに由来しています。都心化が進み、姿を消しましたが、近年は復刻させる取り組みも行われています。

「花茗荷」「茗荷竹」の違いは?

茗荷は地下に茎を伸ばして広がり、土から顔を出した赤い芽のような花穂を収穫します。この花穂を一般的に「茗荷」「花茗荷」と呼びます。ハウス栽培が盛んで一年中流通していますが、旬は夏から秋にかけて。秋に収穫される「秋茗荷」は、夏の「夏茗荷」よりも大ぶりでふっくらしています。花茗荷は、全国の約80%が高知県で生産されています。一方、若芽を日に当たらないように軟化栽培し、収穫直前に弱光で薄い赤色を付けた、細いたけのこのようなものは「茗荷竹」と呼ばれ、5~7月頃に出回ります。花茗荷と同様に香りが良く、香味野菜として人気です。

写真:茗荷<みょうが>物忘れがひどくなるどころか、集中力アップ!

「茗荷を食べると物忘れがひどくなる」との言い伝えを聞いたことはありませんか?これはまったく根拠のないことで、逆に茗荷の香り成分「アルファピネン」には、頭をスッキリさせて集中力を高める作用があります。また、血行を良くして身体を温め、食欲増進や消化を促すので、夏の暑さに疲れた身体にはうれしい成分です。また、茗荷の赤紫色は、ブルーベリーなどにも含まれ目に良い成分として知られる「アントシアニン」です。アントシアニンは、老化防止が期待できる抗酸化作用があることでも知られています。

ふっくらとした色鮮やかなものが良品

茗荷を選ぶときは、ふっくらとふくらみがあり、ずんぐりとした形のもの、色がきれいでツヤがあるものが良品です。軸の白い部分が変色しているものは収穫から時間が経っているので避けましょう。また、先端から花が出ているものや咲きかけのものは、繊維が固く食感が落ちます。茗荷は乾燥に弱いので、買ってきたら濡らしたクッキングペーパーなどに包んでポリ袋に入れて野菜室で保存します。時間が経つと香りが飛び、食感も悪くなるので2~3日で食べ切るようにします。冷凍保存もできますが、香りは残るものの独特のシャキシャキ感がなくなるので、味噌汁などの加熱調理に使うとよいでしょう。凍ったまま調理することもできます。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

独特の食感と風味で、冷奴などの薬味に欠かせない茗荷。若干アクがあるので刻んでから水に軽くさらしましょう。長時間水につけると香りが飛び、栄養成分も流れ出てしまうので、短時間で水から引き上げるようにします。天ぷらや味噌汁の具などでもおなじみですが、生産地の高知では茗荷の卵とじや炊き込みご飯も定番。炊き込みご飯は、だし汁にしょうゆ油やみりんなどで好みに味付けし、粗みじん切りにした茗荷を一緒に炊き込むだけ。茗荷の香りがほのかにするおいしい炊き込みご飯になります。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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