写真:鱸<すずき>春の真鯛、冬の平目と並び称される夏の味覚

流線型の美しい姿で、「海の貴公子」とも呼ばれるスズキ。透明感のある白身で、刺身や塩焼きなどの和食はもちろん、カルパッチョやムニエルなど、洋食の素材としても親しまれています。一年中水揚げされますが、旬は6~8月の夏。夏のスズキは、春の真鯛、冬の平目と並ぶほど美味な白身魚として、人気です。産卵期は12~3月の冬で、一般的には味が落ちるとされますが、島根県の宍道湖に産卵のためにやってくる子持ちのスズキは「腹太鱸(はらぶとすずき)」と呼ばれて重宝され、一匹丸ごと蒸し焼きにする「スズキの奉書焼き」は出雲の郷土料理。近年は海のルアー釣りの対象としても人気で、「シーバス」と呼ばれています。

大きくなるごとに名が変わる出世魚

スズキは、成長とともに呼び名が変わる出世魚です。生後1~2年で25cm前後のものは「セイゴ」、2~3年で40~60cmのものは関東では「フッコ」、関西では「ハネ」、60cm以上のものを「スズキ」と呼びます。他にも、成長度合いによって、各地方ごとにさまざまな呼び名があります。写真:鱸<すずき>成魚になるまでは寒い季節は沿岸部、暖かくなると河川をのぼって汽水域から淡水域まで侵入するため、季節や大きさによって味わいが異なります。また、川に生息する時期があるため、海で獲れた成魚でも、川魚のような少しクセのある香りを持っています。

高タンパク低脂肪のヘルシー食材!

スズキは脂肪が少なく、たんぱく質が多いヘルシーな魚。肉質が柔らかく消化も良いため、病中病後の人や、高齢者でも食べやすい食材です。ビタミンとミネラルがバランス良く含まれていますが、糖質や脂肪の代謝に関わり、疲労回復に欠かせないビタミンB1、B2、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富に含まれています。また、血液中の赤血球の成分となる鉄も豊富。スズキの鉄はたんぱく質と結びつくとさらに吸収が良くなるヘム鉄なので、貧血予防に効果があります。ただし、より鉄分の吸収を高めるビタミンCは含まれていないので、野菜を添えたり、塩焼きやソテーにレモン汁をかけると、さらに効果アップが期待できます。

スズキのあらいは、夏のごちそう!

スズキは切り身や刺身用のサクとして売られていることがほとんどです。身に透明感と弾力があり、皮目が黒っぽいものを選ぶようにしましょう。セイゴやフッコなど小型のものが一匹売りされている場合は、目が澄んでエラが赤く、身が銀色に輝いているものが良品です。新鮮なものが手に入ったら、「あらい」にして食べるのがオススメ。薄いそぎ切りにして氷水に放し、身が反り返るまで締めます。梅肉を溶いた梅醤油でいただくスズキのあらいは、見た目も味わいも夏の涼味です。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

夏を代表する魚のスズキ。川魚のような特有の香りがあるので、刺身やあらいにしたときは梅醤油が合い、カルパッチョやマリネにするときはハーブを効かせると良いでしょう。ムニエルやソテーにするときも、にんにくや香草を使った力強い味付けが合います。小型のものは唐揚げにして、中華風のあんに絡めるのも美味。さまざまな料理に展開できるのが、スズキの魅力です。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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