写真:今回の食材「海のキス釣り」は、江戸時代から初夏のレジャー

上品な味わいの白身魚のキスは、美しい流線型の姿から「渚の貴婦人」「海の鮎」と称されます。海釣りのターゲットとして人気で、江戸時代から「川の鮎釣り」「海のキス釣り」は、初夏のレジャーとして楽しまれてきました。水温の上がる春から夏は沿岸のごく浅い場所、秋から冬は水深30〜50mの深い場所の海底付近に生息し、砂底に潜む虫などの獲物を探るために細長い口をしています。6〜9月の産卵期の前に脂が乗り、おいしくなります

「シロギス」「アオギス」の違いは?

日本で一般的に「キス」と呼ばれるのは「シロギス」です。生後1年で10cm、3年で20cmほどになり、大型のものは30cm以上になることもあります。主に九州地方に生息する「アオギス」は、かつては東京湾や伊勢湾にも生息し、東京湾では浅瀬に脚立を立て、その上に座ってアオギスを釣る「脚立釣り」が初夏の風物詩でしたが、水質悪化で絶滅したと言われています。名の通り体色は青みが強く、シロギスより大型で40cmほどに成長します。日本近海では、近年漁獲高が減少し、写真:今回の食材韓国などからの冷凍物が多くなっています。

さっぱりしながらうまみがある秘密は?

キスは脂質が少ないヘルシー食材ですが、うまみ成分の必須アミノ酸のグルタミン酸とリジンが豊富に含まれているため、上品なコクがある味わいです。ミネラルが豊富で、骨や歯を丈夫にし、精神を安定させる作用のあるカルシウムが多く含まれます。また、味覚障害を予防し、免疫力をアップさせる亜鉛、体内の余分な塩分を排出し、疲れやむくみを予防するカリウムも含まれています。

ウロコがしっかり付いているのは新鮮な証拠!

キスは水分が多く、鮮度が落ちやすい魚です。店頭で選ぶときは、目が澄んで身が締まっているものが新鮮です。また、鮮度が良いほどウロコがしっかり付き、魚体の側面の線がハッキリ見えます。逆に、ウロコが落ちていたり取れやすいものは、鮮度が落ちています。開いたものを選ぶ時は、身が透き通っているものを選び、白っぽく濁っているものは避けましょう。下ごしらえをするとき、腹を開くと黒い皮っぽいものが内側に付いてますが、臭みがあるので良く洗い流してください。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

上品であっさりしたうまみのあるキス。80%が水分とやや水っぽい魚なので、下ごしらえのときに塩水でよく洗って身を引き締めると、よりおいしくなります。鮮度が良いものは刺身にしたり、塩焼きも人気がありますが、脂質が少ないので油との相性は抜群で、天ぷらやフライにすると美味。天ぷらやフライ用におろすときは、大きいものは3枚おろしに、小さなものは背開きにすると良いでしょう。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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