写真:今回の食材日本原産の古くから愛される食材

独特の苦みと香り、シャキシャキした食感のふき。日本全国に自生し、数少ない日本原産植物のひとつです。地下に茎を張るキク科の植物で、早春に地上に出てくるつぼみは「ふきのとう」、花が咲いて地下茎から伸びてくる葉と葉柄の部分が「ふき」と呼ばれて流通しています。
古くから日本人に親しまれてきた食材で、平安時代には栽培が始まっていたとされ、江戸時代には今の愛知県付近で本格的に栽培されていました。現在も愛知県が国内生産量の50%以上を占め、ハウス栽培が盛んで真夏を除いて流通していますが、露地栽培の旬は5~7月です。

一番人気は江戸時代から変わらず!

店頭に流通しているふきの多くは「愛知早生ふき」で、1m前後に成長し、香りが良く柔らかで、アクや苦みが少なめの品種です。江戸時代から盛んに栽培され、現在まで人気が続いています。自生するふきは「野ぶき(山ぶき)」と呼ばれ、根元に赤みがかかり、風味が強いので佃煮やきゃらぶきに向いています。小ぶりの「水ぶき」は水分がたっぷりで柔らかく、水煮や缶詰に加工されることが多くなっています。また、東北地方で生産される「秋田ふき」は、長さが2m、直径5~6cm、葉の幅は1mにもなる大型で、繊維が固いので和え物や煮物には不向きですが、砂糖漬けやてっぽう漬けなど秋田の名産品に加工されています。

写真:今回の食材食物繊維たっぷり、低カロリー!

ふきの成分は、ほとんどが水分です。つぼみのふきのとうの方が栄養価が高いのですが、食物繊維がたっぷりで食べ応えがあり、低カロリーなので、たくさん食べても安心なダイエットの味方です。比較的多いのはミネラルで、特に体内の余分な塩分を排出して高血圧やむくみを予防するカリウムが多く含まれています。
また、ふきのとうほどではありませんが、ふき特有の香り成分「フキノリド」が含まれ、消化を助けて胃腸のはたらきを整えてくれます。また苦み成分の「フキノール酸」は、抗酸化作用があり、免疫力アップやアンチエイジング、さらに花粉症や咳止めに効果が期待できるとして、注目されている成分です。

買ってきたら、すぐに下ごしらえを!

ふきの鮮度を見分けるポイントは葉です。緑色がみずみずしく鮮やかなものが新鮮で、茶色くしなびているものは鮮度が落ちています。また、栽培ものの愛知早生ふきは、茎の直径が2cmほどの太すぎないもの、断面を見て"す"の入っていないものを選ぶようにしましょう。ふきは日持ちしないので、買ってきたらその日のうちに下ごしらえを済ませるようにします。鍋に入る長さにカットし、まな板に並べて塩を振り、両手で前後に転がすように「板ずり」をして、塩がついたまま3~4分ゆでます。冷水に浸け、冷めたら水に浸けたまま皮をむきます。そのまま水に浸けて、時々水を取り替えながら冷蔵庫に保存すれば、1週間ほど保存することができます。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

ほろ苦い風味が春を感じさせるふき。下ごしらえをしたら、そのままサラダや和え物にすれば、シャキシャキの食感が楽しめます。煮物や炒め物もおいしいですが、あまり火を通しすぎないように短時間で調理すると、きれいな緑色に仕上がります。葉も佃煮や甘辛煮にしておいしく食べられますが、アクが強いので、1~2分ゆでた後、水に一晩さらしてから調理した方が良いでしょう。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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