写真:今回の食材大宝律令にも登場!古くから日本の重要食材

味噌汁や麺類の具として、また酢の物やサラダとして、日本の食卓には欠かせないわかめ。縄文時代の遺跡から発掘され、日本最初の法律「大宝律令」にも租税として記されているなど、日本人にとっては古くから重要な食材です。わかめは1年草で、6〜7月頃に胞子が岩場に定着して発芽し、海の養分と光合成によって成長して、3〜5月に収穫されます。昭和30年代に養殖が始まり、現在は95%以上が養殖もの。養殖は胞子を岩場に定着させてからは天然ものと同様に育てられるため、養殖と天然ではそれほど大きな差はありません。近年は、国内消費量の80%以上を中国や韓国からの輸入に頼っています。

二大ブランド「三陸わかめ」「鳴門わかめ」の違いとは?

国内の主な産地は「三陸わかめ」で知られる東北の宮城県・岩手県と、「鳴門わかめ」で知られる徳島県。この3県で国内生産量の8割以上を占めます。三陸わかめは肉厚でシャキシャキした食感。そのまま刺身やしゃぶしゃぶでも楽しめます。鳴門わかめはやや薄めですが、コシがあって食感が良いので、サラダや酢の物にピッタリです。わかめは鮮度が落ちやすいので、保存が利くように1度湯通ししたものを冷水で冷やし、塩を加えて脱水した湯通し塩蔵写真:今回の食材わかめと、カットして乾燥させた乾燥わかめが主に出回っています。また、春の収穫期には、1度湯通ししただけの生わかめを見かけることができます。歯ごたえのある食感と磯の香りが楽しめる旬の味覚ですが、日持ちしないのでできるだけ早く食べましょう。


わかめのヌルヌル成分に秘密あり?

わかめは低カロリーでミネラルが豊富なヘルシー食材です。同じ海藻の海苔や昆布より食物繊維が多いことが特徴で、特に不溶性食物繊維のアルギン酸が多く含まれています。アルギン酸はわかめのヌルヌルしたぬめり成分で、体内の塩分であるナトリウムと結びついて体外に排出することで血圧の上昇を抑えたり、コレステロールの腸での吸収を妨げてコレステロール値を下げるなど、さまざまな効能があることがわかっています。また、糖類のフコダイン多は、胃の炎症や潰瘍を予防・修復するはたらきが期待できます。代謝を活発にして成長を促進するとされるヨウ素、骨粗しょう症を予防するカルシウム、むくみ予防に効果的なカリウムも豊富です。

戻すときは、使う分だけ、手早く!

塩蔵わかめを選ぶときは、濃い緑色で厚みがあるものが良いでしょう。乾燥わかめは、よく乾燥して黒褐色のものを選びます。塩蔵わかめは冷蔵庫で保存し、乾燥わかめは湿気に弱いので袋から密閉できる瓶などに移し替えて、常温で保存します。どちらも水で戻してから使いますが、戻すと日持ちしません。また、塩蔵わかめは3〜4倍、乾燥わかめは8〜10倍に増えるので、使う分だけの量を戻すように気をつけましょう。さらに、戻すときは長く水に浸けすぎると、わかめ特有のコシがなくなってしまうだけでなく、アルギン酸などの水溶性の栄養素が溶け出してしまうので要注意です。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

塩蔵わかめや乾燥わかめは、保存が利き、使いたい量をササッと戻すだけなので、とても手軽で便利な食材です。乾燥わかめの製造法が確立された昭和50年からの40年間で、わかめの消費量は4倍以上になりました。実はわかめを食用としているのは、日本以外では韓国などごく一部の国だけ。韓国では、産後の体力回復にわかめスープを食べると良いと言われ、出産祝いでわかめを贈る風習があるほど、栄養価の高さが古くから伝えられています。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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