ティーバッグ、缶・ペットボトル紅茶飲料の登場で身近に!

紅茶は日本の緑茶と同様に、イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国の食文化に欠かせない飲料です。もとは緑茶や烏龍茶と同じ茶葉で、原産地の中国からヨーロッパに17世紀前半ごろに伝わりましたが、緑茶をやや発酵させた烏龍茶よりもさらに味も色もしっかりしたものが好まれ、ニーズに合わせて茶葉を加工しているうちに、完全発酵した紅茶が生まれたと言われています。日本には明治時代後半にイギリスから輸入されたのが始まりで、当時の主力輸出品であった緑茶よりも、世界的には紅茶のニーズが見込めることから、昭和初期には輸出用に国産紅茶が生産されていました。戦争を経て紅茶の生産は廃れ、紅茶を飲む習慣も根付きませんでしたが、1971年に紅茶の輸入が自由化されると、手軽なティーバッグ製品が広まったこともあり、一般家庭でも飲まれるようになりました。1980年代後半には缶やペットボトル入りの紅茶飲料が発売され、より身近な存在になっています。

産地ごとの味わいの違いを楽しもう!

紅茶は産地ごとに自然環境、栽培、製法の違いがあり、それぞれに特徴があります。インド北東部のダージリンは生産量は少ないものの、香り高く「紅茶のシャンパーニュ」と呼ばれる高級品です。ウバはスリランカ産で特有の爽やかな香りがあり、渋みが強くしっかりした味わいです。中国産のキーマンは花のような甘い香りを持ち、渋みが少なく、甘みがあります。これらダージリン、ウバ、キーマンは世界三大紅茶と言われています。また、インド北東部のアッサムは、世界最大の紅茶産地。濃厚で芳醇な味わいが特徴です。インド南部のニルギリは、スッキリしたやわらかい味わいで、広く親しまれています。旧国名のセイロンで知られるスリランカのディンブラは、マイルドな味わいで香り、色のバランスが良いと評価されています。ちなみに日本で好まれるアールグレイは、複数の茶葉をブレンドし、後から人工的にベルガモットの香りをつけたフレーバーティーです。

紅茶がインフルエンザに効く!?

茶葉が発酵する際に生じるタンニン、テアフラビン、テアルビジンなどの成分を総称して「紅茶ポリフェノール」と呼び、さまざまな効能があるとされ、多くの研究結果が発表されています。例えば、強い抗酸化作用があり、高血圧などの生活習慣病の予防や、アンチエイジング効果が期待できます。また、殺菌効果があり、飲むことで食中毒を予防したり、紅茶でうがいをすると風邪やインフルエンザの予防にも役立つと言われています。茶葉にはにおいを吸収する作用があるので消臭効果もあり、古くなった紅茶や使用済みの茶葉を冷蔵庫や下駄箱などに入れ、脱臭剤として利用することもできます。

湿気と高温を避けて保存!

紅茶はさまざまな種類があるので、飲み方によって適した茶葉を選びましょう。そのまま茶葉の香りと味わいを楽しむストレートティーは、香り高くマイルドなダージリンが向いています。ミルクティーは味が濃く出る種類が向くので、芳醇なアッサムがおススメです。レモンティーは、レモンの成分に反応してタンニンが苦く感じるので、ニルギリなどタンニンの少ない種類が良いでしょう。また、紅茶は湿気と高温が大敵なので、密閉して温度と湿度が低い場所で保存します。冷蔵庫保存は、他の食品のにおいを吸収したり、結露の可能性があるので避けましょう。空気に触れると酸化が進んで風味が落ちるので、開封したらできるだけ早めに使い切るようにします。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

茶葉の種類によって味わいが異なる紅茶は、飲み比べが楽しいお茶です。茶葉の風味を味わうには、酸素を含んだ新鮮な水が必要で、汲み置きをした水やペットボトルの水ではなく、水道水をすぐに沸かし、しっかり沸騰させたお湯で入れます。茶葉が開くまで蒸らして「ゴールデンドロップ」と呼ばれる最後の一滴まで注ぎ切りましょう。食後のリラックスにピッタリの紅茶ですが、緑茶や烏龍茶と同様にカフェインが含まれているので、寝る前は飲み過ぎないようにしてください。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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