青木さんの窯焚きは、この3つの道具が要。まさに"3種の神器"です

−火山に魅せられた青木さんが、燻製に興味を持ったきっかけは何ですか?

青木さん:子どもの頃からなぜか、火がすごく好きだったんです。昔は炊事、風呂など生活のいろんな場面で直火を使っていましたから、私だけでなく誰でも火を焚く機会が毎日のようにありました。かまどに薪を入れる、風呂を沸かす。そんなことでも楽しくて仕方がなかったですね。それから大学時代に旅した先で活火山の噴火を見て、もうすっかり虜になってしまいました(笑)。時間を作っては長期間滞在しながら全国の活火山を巡るようになり、鹿児島県沖にあるトカラ列島に滞在していた時に出会ったのが、火を使った燻製でした。

−火への愛着が、青木さんの燻製のルーツなんですね。

青木さん:火の番をしていると、1日中でも飽きません(笑)。温度調節は機械に頼らず、「火吹き竹」「火ばさみ」「十能(じゅうのう)」の3つの道具だけで、手作業で火加減を1℃単位でコントロールしています。薪を入れたり、位置をずらしたりする時は火と真剣勝負です。

−今まで、どんな燻製を作ってこられましたか?

学生時代から日本全国の火山を巡ってきた青木さん。
現在も2〜3ヶ月に1度は、火山めぐりの旅をするそう

青木さん:過去滞在していたトカラ列島では、よくアゴ(トビウオ)の燻製を作りました。最初は燃木のこともまだよく分かりませんでしたが、それなりに自生木や流木を使っていましたね。あとは、地元ではほとんど商品価値がないと言われていたアイゴという魚の燻製は、淡白な魚の身に燻製香がほんのりついて、なかなかおいしかったですよ。他にも、シカやイノシシ、鶏など、地元でとれる食材を燻製して頂くのが、何よりの贅沢でした。

−話を聞いているだけでもおいしそうです。

青木さん:アゴ(トビウオ)の燻製は、今でも夏季限定で作っていますよ。ただ、アゴは日本海で採れる鮮度の高いものを手に入れるのが難しく、ソーセージやベーコン以上に生産量が少ない、稀少品なんです。

火に魅せられ、全国の活火山を追ううちに、地の食材と火を結びつけた青木さん。
お話をお伺いしているうちに、窯ではできたての燻製が仕上がり間近です。