生姜汁は搾ったあとをひと晩寝かせ、余計な雑味を除いた上澄みのみを使用。生姜汁は搾ったあとをひと晩寝かせ、余計な雑味を除いた
上澄みのみを使用。

-工房のすみずみまで、生姜のさわやかないい香りがします。

吉本さん:今日は、135キロの生姜をすりおろして、そこから搾った約95キロの生姜汁を2つの釜に分けて煮詰めています。材料はこの生姜の搾り汁と上白糖だけですから、生姜の質がそのまま商品に反映します。余計なものを加えず、菓子職人だった先代から受け継いだ味をそのまま再現することだけを考えています。

-たくさんの生姜から、これだけの搾り汁を抽出するのはとても大変そうです。

吉本さん:辛味や香りのバランスがとれた生姜汁を機械まかせで搾るのは不可能です。繊維の硬い生姜をすりおろして、最後の一滴まで手搾りで残さず漉(こ)すのはかなりの力仕事ですが、一つ一つの行程を雑にこなしては、この味にはならないんです。

-大きな釜で煮詰めていくのも、時間と手間がかかる作業だそうですが。

熱い釜に立ち続け、絶え間なくアクをすくい続ける。熱い釜に立ち続け、絶え間なくアクをすくい続ける。

吉本さん:そうですね。生姜の品質は、季節や育った土壌によって異なりますから、一回ごとに煮詰める温度や時間を見極める必要があります。たとえば、生姜を煮ると鍋の表面に泡のようなアクが出るのですが、これは毎回同じように全部すくいとってはいけないんです。アクは苦味やえぐ味を含みますが、すべて除いてしまうと、たとえばホップのきいていないビールのような、つまらない味になってしまいます。鍋ごとに生姜のアクをどれだけ取り除き、どれだけ残すかも、長年の職人の目でしかわからない見極めどころですね。

効率ではなく、昔ながらの製法と職人の手仕事にこだわる吉本さん。
原料の生姜にも、揺るぎないこだわりがあるそうです。