「昔ながらのわら納豆」は、一つ一つ手作業で作られている。

−福田さんの納豆は、他の納豆とどこが違うのですか?

福田さん:稲のわらでくるまれた納豆は時々見かけるかもしれませんが、うちのは通常納豆作りに使用する純粋培養した納豆菌は使用しないで、わらに棲みついている納豆菌だけで発酵させています。この作り方を続けているところは、今はほとんどないのではないでしょうか。自然の菌を相手にするため、どんな発酵状態になるか予測がつかないので、品質を保ち続けるのは難しいのです。

−今の生産体制を作るのには、かなり苦労されたのですか?

福田さん:はい、作り始めたころは失敗ばかりで、なかなか納得いくものに仕上がりませんでしたね(笑)。いろいろ試行錯誤の末、軌道に乗せた今では自然に発酵させた納豆は非常に珍しいので、県の特産品にしようと栃木県からも支援してもらっています。

自然に発酵させた納豆は、今では非常に珍しい。

−なぜそのような生産が難しい納豆を作ろうと思ったのでしょうか?

福田さん:昔は東北から北関東あたりまで、家で納豆を作っていたんですよ。米の収穫が終わって、そのわらを使って正月用に納豆を仕込む。そして、正月のお餅を納豆と一緒に食べる。そんな風習があったんです。ただ、手間がかかるのと、自然任せで作るから味が安定しないこともあって、作る人がだんだんと少なくなりました。
私も長い間、自家製納豆は食べていなかったのですが、ある時妻がもらってきて食べてみたら、小さい時の記憶がよみがえってきました。そうだ、納豆はこういう味だった、これこそが本当の納豆の味だ、と感動してしまって・・・。今は作る人が少なくなった本物の納豆を自分の手で復活させよう、と決意したのです。ここまで納豆作りが大変だとわかっていたら、最初からチャレンジしなかったのですが(笑)。

小さいころに食べていた本物の納豆を復活させようと思った福田さん。
試行錯誤の末にたどりついた生産方法とは・・・?