お洒落でセンスあふれる現代的な店舗

−作業場に一歩入った途端、炊き立てのご飯の香りがして驚きました。お煎餅はお米からできているんだ!と再確認できますね。

佐々木健雄さん:富士見堂は、うるち米を玄米の状態で仕入れ、生地から煎餅を作っている専門店です。生地から作っている煎餅屋は、もう都内ではあまり残っていないと思います。

−店頭で煎餅を焼いているお店はよく見かけますけど...?

佐々木健雄さん:多くの煎餅屋さんは、生地屋さんから煎餅生地を仕入れる「買い生地」で作っています。仕入れた生地を、自分のところで味付けをして焼いて売っているんです。というのも、生地をイチから作るのは本当に手間がかかるので、人を確保するのが難しい。それと、都内では場所がない、などの問題がありますね。都内では場所を確保することも、非常にコストがかかりますので。

−なるほど。手間がかかったり、コストがかかったりするのに、富士見堂さんが生地の自社製造にこだわる理由はなんですか?

佐々木健雄さん:一言でいうと「好きにできる」からです。生地を作る米も選べるし、混ぜる食材も選べる。自分たちが納得できる「おいしい煎餅」を作るためには、自分たちが納得できるおいしい材料を使わないとできないんですよ。

一等米を使った生地を丁寧に焼き上げる

−では、お米も他の食材も納得できるこだわりのものを使っている、ということですね。

佐々木健雄さん:そうです。お米は減農薬の米を玄米の状態で仕入れて、鮮度を保つために使う分だけ自分のところで精米しています。煎餅はいわゆる加工用の米で作るのが普通なのですが、うちのお米は、一等米。普通に炊いてご飯として食べてもおいしいんですよ!

−お米が違うと、煎餅の味ってそんなに違うものなんでしょうか?

佐々木健雄さん:まったく違いますね。米の風味が違う、というのでしょうか。うちの煎餅は「お米の味がする」と評判なのですが、これはご飯で食べてもおいしい一等米を使っているからこそできることなんです。加工用の米を仕入れたのでは、この風味は出せないと思っています。

佐々木さんの言葉通り、焼きあがった煎餅をひと口かじると、口全体にふわーっと「お米そのもの」の風味が...!この「基本の煎餅の味」を守りながら、佐々木さんは若い感性を活かして新商品開発や店舗展開などのチャレンジを始めています。